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シネマアクロバティックは映像制作のプロセスを通して自分を見つめ、また他者への理解を深めようとするワークショップ形のプロジェクトです。これには三つの目標があります。第一に参加者と相互作用しながら物語をつくること、第二に参加者それぞれの創作の意図を分析、認識すること、第三にこうした分析の過程を経て互いの理解を深めることです。「架空の物語をつくる」というきっかけを通して通常では話し難い個的な問題を互いに共有し他者との相互関係を深めることを目的とするプロジェクトです。

 

シネマアクロバティック01

1996年春と1997年の秋にこのプロジェクトの第一回目は、ニューヨーク、マンハッタン南部のコロンバス公園とSOHO周辺で行いました。この時のワークショップはニューヨーク市立高校である「プロフェッショナル・パフォーミングアーツ・スクール」の学生を対象に行いました。彼らはニューヨーク市で生まれ育ち、役者やミュージシャンを目指し、小さな頃から演芸に触れて成長してきた若者で、それぞれ違った社会、文化ルーツをもっています。ワークショップ期間中、学生と私は演出、撮影、役者、そしてドキュメンタリーという役割を交代しながら、共同で一つの映画を制作しました。また制作過程を常にドキュメンタリー役の人が追うことによって、演出家の意図、役者がそれをどう理解したか、またどのように演じるのか等と言ったことをインタヴューするということで表面化しました。我々は毎ワークショップの最後にシーンだけでなく、このインタヴューを撮影した場所で上映しました。

我々の制作したシーンやその説明が撮影場所にいた人との対話を生みました。シーンの内容が過激な場合は苦情も出ましたし、またシーンをこのようにしたらいいというようなアドバイスも出ました。我々はこうした対話の体験を反映し、新しいシーンを作り続けました。常に自分達の制作したものを他者を通して見直すことで、一人一人の考えや価値観が見直されました。私、学生、そしてその周辺にいる人達が、自分に対しての新しいイメージを持つ事ができ、さらに他者への理解も深めることができました。こうした意味で、映像制作の過程そのものが、新しい社会関係を作る事ができたと思います。